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データ活用社会創成シンポジウム2021を開催しました

東京大学は10月11日、「データ活用社会創成シンポジウム2021」をオンラインで開催しました。本シンポジウムは、Society5.0が目指すデータ利活用の恩恵をだれもが安心して享受できるインクルーシブな社会の実現に向けたデータ活用を推進する先進的な取り組みや、さまざまな地域や分野での利活用事例について、幅広い分野の専門家による講演を通してデータ活用社会のあるべき姿について議論するもので、東京大学未来社会協創推進本部学知創出分科会データプラットフォームイニシアティブが主催し、学内外から450名を超える参加がありました。

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はじめに、藤井輝夫東京大学総長がCOVID-19や地球温暖化といった問題について、人類は未来に対して責任ある行動をすべきであり、そのためにもデータ活用社会創成プラットフォームmdxやデータを活用する先進的な取り組みが重要であると挨拶し、続いて来賓の文部科学省坂本修一大臣官房審議官より我が国の科学技術基本計画で提唱するSociety 5.0の実現に向けてmdxやSINETといったデータ利用のためのプラットフォームは大切であり、科学技術のデジタルトランスフォーメーションに不可欠であると挨拶がありました。また、喜連川優国立情報学研究所長より全国9大学と2研究機関が協調して進め、今年度供用を開始したmdxを長い目で暖かく育ててゆきましょう、との挨拶がありました。

これに続く3つのセッションではデータ活用基盤整備やデータ活用の取り組みについて、各専門家による講演が行われました。

データ活用基盤のセッションでは、田浦健次朗東京大学情報基盤センター長が大学・研究機関で共創する産学官連携のためのデータプラットフォーム「mdx」の運用開始を報告し、さまざまな分野でのデータ活用に利用いただきたいと呼びかけました。また漆谷重雄国立情報学研究所副所長が2022年に供用開始する次世代ネットワークSINET6について報告し、さらに中村良介産業技術総合研究所人工知能研究センター研究チーム長がデジタルツインの考えをもの作りの用途を超えて街全体、究極的には地球全体に広げることを目指すサイバーフィジカルシステムの構想について講演しました。

データ活用社会 (I) のセッションでは、桂ゆかり東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教が論文からの大規模実験データ収集について紹介し、岩井紀子大阪商業大学 JGSS研究センター長がJGSS研究センターにおけるデータインフラ整備の現状を報告、菊池康紀東京大学未来ビジョン研究センター准教授が地域システム設計を駆動するデータ利活用の在り方について講演しました。

データ活用社会 (II) のセッションでは、辻中仁士株式会社ナウキャストCEOが我が国のオルタナティブデータ利活用の課題とあるべき姿について議論し、酒向重行東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター准教授が広視野動画カメラ「トモエゴゼン」を用いた天体観測と時間軸天文ビッグデータについて講演、日下部貴彦阪急阪神ホールディングス株式会社データアナリシスディレクタが都市・交通サービスのデータ利用の可能性とその課題―鉄道グループのデータ活用に向けた挑戦について報告しました。また皆川朋子グローバル・ブレイン株式会社Directorが新しいヘルスケア領域Femtechのデータ活用について様々な事例を報告しました。

講演ごとにオンライン参加者からの質疑応答・コメントを交えた活発な議論が行われ、最後に田浦センター長よりデータ活用が広い分野で必要なことを実感したとの感想とともにまだ動き始めたばかりのmdxの改善に向けた協力呼びかけを含む挨拶があり、盛況のうちに幕を閉じました。

(2021/10/21追記) 一部の講演を除き、当日の講演の録画をこちらで公開しています

藤井総長

写真1:挨拶する藤井輝夫東京大学総長