東京大学情報基盤センター

スーパーコンピューティング研究部門

ホーム > スーパーコンピューティング研究部門 > ニュース > 山崎一哉助教がコンピュータサイエンス領域奨励賞を受賞

山崎一哉助教がコンピュータサイエンス領域奨励賞を受賞

東京大学情報基盤センター スーパーコンピューティング研究部門の山崎一哉助教が、一般社団法人情報処理学会の2025年度コンピュータサイエンス領域奨励賞を受賞しました。この賞は、コンピュータサイエンス領域に所属する研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な研究発表を行った若手会員に贈呈されます。山崎助教は、2025年3月に情報処理学会第198回ハイパフォーマンスコンピューティング・第14回量子ソフトウェア合同研究発表会で発表した「GPU化済の気象コードにおけるホストCPUコアの有効活用」に対して受賞しました。

本成果の推薦理由は以下の通りです。
「高性能計算において近年普及が進んでいるGPU搭載機では、CPU-GPU間通信を減らすために極力全ての処理をGPU化することが多い。しかしこの実装では、CPUのコアをほとんど活用できないことが課題であった。そこで本論文では、OpenACCでGPU化済みの気象コードをCPUの空きコアでも並行して動作させ、計算領域の一部をCPUに割り当てることで、GH200上での性能を25%前後向上させた。本成果は、同一コードがCPU・GPU双方で動作するOpenACCの特長を活かし、コンポーネント間通信関連のコード変更のみで実現している。つまり本成果は、多様なアプリケーションに比較的低コストで適用して性能向上をもたらす可能性を有している。これはCS領域奨励賞を受けるに値する成果であるため、本賞に推薦する。」

受賞に際し、山崎助教は、以下のようにコメントしています。
「この研究では、私が博士課程で開発した気象・気候シミュレータ「SP-MIROC」を、スーパーコンピュータMiyabi上で高速化しました。Miyabiの演算加速ノード群Miyabi-Gは、非常に強力なGPUを搭載しているため、高速に計算するにはGPUを使いこなすことが重要です。本研究では、Miyabi-GのGPUに加えてCPUをも使い切ることで、SP-MIROCの計算速度をさらに引き上げることができました。
 今回の研究では、SP-MIROCに特有の(専門用語でいうと、袖領域交換が不要である)性質を利用して、比較的容易に高速化を実現することができました。今回の手法を拡張し、さらに多種多様なシミュレーションで高速化を実現できるよう、今後も研究を進めてまいります。」

2025年8月に開催された第200回ハイパフォーマンスコンピューティング研究発表会(SWoPP2025)において授賞式が行われました。

SWoPP2025における授賞式の様子

関連 リンク